予防歯科
予防歯科
日頃、診療をしていると『私は歯で散々苦労してきたので、子供には同じ苦労をさせたくないんですよ』と仰るお母さんによく出会います。この気持ち、子を持つ親の一人として、よくわかりますよね。
そんな『虫歯予防』の分野では、『フッ素』という言葉を一番よく耳にされるのではないでしょうか。
まず、フッ素による虫歯予防の方法には、二つの方法があります。
ひとつは、歯科医院や保健所で行う『歯面フッ素塗布』、もうひとつは自宅で出来る『フッ素洗口法』です。
皆さんに歯医者に行っていただいてフッ素を塗る方法です。フッ素の知名度が上がるにつれて、お子さんをフッ素塗布のために歯医者に連れていく親御さんも増えています。高濃度のフッ化物を歯の面に塗るので、歯医者の管理の下でなければ行うことができません。濃度が高いですから、毎日というわけではなく、年に数回の頻度で塗ることになります。
では、どんなタイミングで塗ればいいのでしょうか?覚えておいていただきたいのは、フッ素は『生えて間もない歯に吸収されやすい』という点です。そして、重要なのは『生えて間もない歯は完成度が低くて虫歯になりやすい』ということです。ですから、歯が生えてきたらその都度フッ素を塗るのがベストということになります。一番早く生える乳歯は、生後半年ぐらいから生え始め、一番遅く出てくる永久歯(親不知は除いて)は、中学生で生えてくることを考えると、この間、年に2回〜4回のフッ素塗布がおススメということになりますね。
これは、歯医者で塗るフッ素よりも低濃度のフッ化物でウガイをする方法です。フッ素が含まれた液でウガイをすることで、歯にフッ素が触れるようにするのです。週に一度洗口する方法と毎日する方法があります。
気を付けなくてはならないのは、子供がウガイをした液を飲み込まずに、しっかりと吐き出すことができるようになってから行う方法である点です。できれば、ウガイをして吐き出す練習を事前にしておくとスムーズに洗口できるでしょう。
最近の歯磨き粉には、『フッ素入り』『フッ化物配合』などとうたわれているものが数多くあります。フッ素を歯に触れさせる方法としては、毎日の歯磨きの中で実施できるので一番簡単で経済的にも安上がりかもしれません。
大切なのは、
などが挙げられます。大人でもできるシンプルな予防法です。
歯は、ハイドロキシアパタイトというもので出来ていますが、フッ素とくっつくとフルオロアパタイトというものに変わります。このフルオロアパタイト、元々のハイドロキシアパタイトよりも虫歯に強いんです。フッ素を塗ると、こうして歯そのものが虫歯に強くなります。
虫歯は、歯がとかされることから始まります。虫歯で穴があいてしまっているような歯はダメですが、初期の虫歯であればフッ素を塗ると再石灰化というメカニズムが働いて虫歯の進行が抑えられます。フッ素は、少し食われかけた虫歯からも歯を救ってくれるんです。
フッ素は、口の中にいる虫歯の原因になる細菌の活動を弱める効果も持っています。
薬の類はなんでもそうですが、決められた量以上に摂ることはよくありません。フッ素の場合は、過剰に摂取すると、白い斑点が歯の表面に出てくる『斑状歯』がみられることがあります。
毎日、あるいは週に一回行う洗口法は、お子さんが洗口できるようになってから行いましょう。洗口が出来ない年齢で行うと、液を毎回飲み込んでしまうことになります。洗口法の場合に使用する液のフッ素は低濃度ですが、頻回に飲み込んでしまっては『摂りすぎ』になってしまいます。4歳〜5歳ぐらいで洗口ができるようになってから行ってください。
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